リリースは「正直」に書くべし

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「リリースは型にはめて書く」「A4の紙1枚にまとめる」
ここまでの2回、ニュース・リリースのスタイルについて書いてきましたが、今回は少し基本に立ち返って、書く際の姿勢、心づもりについて解説しましょう。

世間に正しい姿を知ってもらう。真実をありのままに知ってもらう。

これは松下幸之助さんの言葉です(『実践経営哲学』PHP文庫)。
もしかしたら、幸之助さんを知らない人がいるかもしれないので、少しだけ幸之助さんについてお話しましょう。幸之助さんはいまのパナソニック(旧社名:松下電器産業)の創業者。戦前の小さな工場から、独特の経営手法で会社を大きくした立志伝中の人物で、“経営の神様”とも呼ばれ、彼の経営哲学は多くの人に影響を与えました。

上の言葉の言わんとしていることは、単純で「考えていること、業績、製品などについて、世間に正しい姿を知ってもらうことが大切」ということでしょう。広報活動や宣伝広告などはそのために行うものであり、広報宣伝活動の目的でもあります。
しかし、後半の「真実をありのままに」を実践するのは簡単ではありません。人間だれしも、自分を大きく見せたいという欲望にかられるものです。ましてや、広報・宣伝を任された人なら……「少しくらい盛ってでも世間に知ってもらいたい」となってもしかたがないでしょう。

とはいえ、メッキはすぐに剥がれます。「世界一」「日本一」「本邦初」「ナンバーワン」などはついつい使いたくなるものですが、ネットで調べるたら事実かどうかは簡単にわかる時代となりました。嘘やごまかしがあれば、会社にとってはマイナスで、リリースは会社の公式文書でもありますから、虚偽記載は社会的信用をも失墜させます。
「世間に正しい姿を知ってもらう。真実をありのままに知ってもらう」は、広報活動の神髄をしめした言葉でもあるのです。

数字や効果など事実は淡々と書く。いろいろあるなかで「特長的な部分」を抽出し、それのどこがどう魅力的なのかよくわかるように表現する――それがリリースを書く際、心がける姿勢といえるでしょう。
簡単には、マスコミの注目は集まらないかもしれませんが、嘘で糊塗するよりもいい。長い目で見れば、いちばんの発展の近道ではない、と思います。

以下も、松下幸之助の本からの引用です。

「すべての人を一時的にだますことはできるし、一部の人をいつまでもだましておくこともできる。しかし、すべての人をいつまでもだまし続けることはできない」(リンカーン)

お互い肝に銘じたいものですね。

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