前回、私は次のように書きました。
「マスコミ人はおおむね忙しく、面倒くさがり屋です。一方で、面白いネタには飢えています」
たとえば、新聞記者なら毎日のように締切がやってきます。
月刊誌の編集者であれば締切は月イチでしょうが、1つの記事を完成させるのに、取材先、ライター、カメラマン、デザイナーなど複数の人とのやりとりが必要です。並行して、先の号に向けたネタ調べや、取材依頼なども行っています。彼らが同時期に2つ3つのことに携わるなんて珍しくありません。
新聞記者も雑誌編集者も「面白いネタに飢えている」とはいっても、とてもとてもニュース・リリースにじっくり目を通している暇はないわけです。
そんな彼らの前に、次の2種類のリリースがあったとします。さて、手に取るのはどちらでしょう?
・A4判の用紙で3枚(写真はほとんどなく文字)
・A4判の用紙で1枚(文字は少なく。写真は1枚)
私だったら、間違いなくい後者を先に取ります。前者は、「時間に余裕があれば」。で、「なければ」手に取ることはありません。
みなさんも、有名だけど読んだことがない作家の作品が2種類あって、1冊は300頁を超え、もう1冊は200頁ほどだったら、量の少ないほうから先に読みませんか? 短いほうを読んで面白ければ、長いほうも読むはず。それと同じような気分だと考えてください。
ですから、このように言われることもあります。
・A4判の用紙で1枚に収めるのがベスト=「ワンベスト」
・2枚に収めるのがベター=「ツーベター」
くれぐれも、3枚を超えるような長文リリースを送りつけないようにしましょう。読んでもらえる可能性は限りなくゼロに近いからです。
前回紹介した、型(ヘッダー、タイトル、リード、本文などで構成)も「ワンベスト」にするために、「編み出された工夫」と考えることもできます。
そうはいっても、A4判で1枚におさめるのはなかなか大変です。必要なことを盛り込めば、余裕で1枚を超えてしまう。そのうえ、見栄えをよくするために、写真もあしらうとなると……。みなさんの嘆き節が聞こえてきそうですね。
でも、ご安心を。ちゃんとコツのようなものはあります。
どうしても1枚におさまりそうにない場合は、1枚目は特長や、他と比べての優位性のみを書き、正確なサイズや仕様、写真などは2枚目に「資料編」としてまとめて掲示するようにしましょう。2枚目が資料であることがわかれば、記者たちは安心してリリースを読み進めることができます。
あるいは、リリース配信と同時に、WEBページを立ち上げ、「詳しいことはこちらに」と誘導する形でいいでしょう。
とにもかくにも、A4判1枚で「ニュース性があるかないか」を記者が判断できるようにする。それがポイントだ、と覚えておいてください。